作品について

Salzfertigerhaus exhibition

有機的な形態と模様

私は長年、水面の張力や水の流れの永続性、重力、そしてその形状に魅了されてきました。有機的な形態を作品に取り入れるのは、鑑賞者がより自然に感情移入できるようにするためです。静止した物体でありながら、粘性のある形状が動きを錯覚させ、生命の気配を感じさせます。
ただし、形状は液体の動きを正確に再現するものではなく、むしろ流動の滑らかな動きが、表面張力によって重力に抗する瞬間を捉えたかのように見えます。その結果、軟体動物のような逆向きの運動が生じ、鑑賞者はこの非現実的な動きに感情や物語を重ねていきます。無機的な物質から有機的な生命へと移行する過程で、作品はまるで自己意志を持つかのように変化します。

また、釉薬の代わりにマットな色を用いることで、作品は布のような独特の質感を持ち、陶芸の伝統的な物質性から解放されます。その質感が重いのか、柔らかいのか、硬いのかが曖昧であることこそが、私にとって魅力的な表現のひとつです。この考えが、衣服の布地にプリントされたようなモチーフを描くことへとつながりました。
表面のパターンは、流体の形や水の波紋から着想を得た織り模様から始まり、やがて波紋のような円形のモチーフへと発展しました。ヨーロッパに移り住んでからは、ウィリアム・モリスの壁紙に見られる植物や動物の連続したデザインに影響を受け、生活と芸術が融合するモチーフを取り入れるようになっています。作品の形状や連続する有機的なパターン、具体的なモチーフのすべては、自然からインスピレーションを得ています。

このような作品を通じて、物質の枠を超えた表現を探求し、鑑賞者が新たな感覚や物語を見出せるような作品を創造していきたいと考えています。

Chiho AONO
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