有機的な形態と模様
私が作品に有機的な形態を用いるのは、鑑賞者に感情移入をたやすく促すからです。動かない物体ですが、粘性の形状は動いているような錯覚を生み出します。
しかし、作品によって流動体の物理的な運動を正確に再現しようとしているわけではありません。形状は不格好に変形したり、意識を持った軟体動物であるかのように、重力だけでは発生しない方向性を持っています。 なぜなら、その形状が物理的に一致しない動きを持っている時、その中に物語性や感情などが生まれるからです。
表面のパターンも、はじめは流体のような形状と付随する水の波紋にインスパイアされた織りパターンから始まり、波紋のような円を描くことに発展していきました。 ヨーロッパに住み始めてから徐々にウィリアム・モリスの壁紙に植物や動物が連続して描かれるなど、生活と芸術の融合を提唱するデザインに影響を受け、同様のモチーフを描くようになりました。
釉薬の代わりにマットな色を使うと、布地のような不思議な質感になります。重いのか柔らかいのか硬いのかわからない質感と、生地にプリントされているようなモチーフを描くことで、作品がセラミックの物質感から解放される効果を生み出しています。
作品の形状や連続した有機的なパターンと具体的なモチーフも、基本的には自然からインスピレーションを得たものです。